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【アークナイツ】相見歓をクリアしました(ネタバレあり感想)

ゲームについて

アークナイツで7/17〜8/7に開催されたイベント(サイドストーリー)です。

めちゃめちゃ遅くなりましたが、せっかく歳イベはなんだかんだ毎回読んでるので記録。

感想

全体(ストーリー)

料理を通して、人の歴史を辿るストーリーでしたね。食事は人間の最も原始的で必要な行為であるゆえに、人の営みと切っても切り離せない。料理は必ず誰かが作ってくれていて、故にその裏にはその人の、そしてそれを作ってきた人々の歴史があると思っているので、とても好きなお話でした。

ニン•インが、有名な料理人ではなく、市井の人たちのレシピを残そうとすることが、正しい歴史しか残されないことと重なって、どんなスケールでも、歴史は歴史なんだなぁと思いました。あと、前回イベのズオくんは、大義だけではなく一人一人とも向き合えるようになりましたが、この今回のイベントでも、どんなことを成したかは関係ない、全ての人間ひとりひとりによって歴史は作られているのだという、根底に流れる価値観を感じました。

抽象化によって異なる具体的なテーマを重ねて語ることにより、共感を生むのがとても上手いな〜と思いました。

ニン•インとグー・チュエンの会話より。

師が言っていた言葉を思い出しました。

「古来より世事は流水のごとし。高い波は記録されるが、その他は静かに流れるのみ....されど細流なくして、波は生まれようか?」

波と細流のどちらが偉大で、どちらが平凡などという話はありません….....

確かに、世のほとんどの人々は史書に名を残すことはできません。しかし彼らは書の行間にある空白ではなく、史書の頁そのものなのです。

空白ではなく、頁そのものという表現がとてもぐっときました。

ニン•インとニン•シューとの会話より。

彼の語る「彼女」は優しく、民草のために多大な心血を注いだ方でした...なぜそのような善人が、史書に名を残すことなく終わったのでしょう?
その時、ようやく思い至りました。史書とは容器ではなく、ふるいなのだと一残せる物語は、限りなく少ないものなのだと。

後から見るものは、そこに残されたものしかあったことがわからない。記録されないものは、なかったことと同じになってしまう。だから、語り継いでいかないといけないのですね。

紙の本でもそうですが、インターネットでもそうだなと思いました。インターネットが生まれる前の時代の情報って、インターネットで拾えないんですよね、当たり前ですけど。さらに言えば、ネットに上ってない、デジタル化されていない情報はないことと同じになる。だから、ChatGPTが全てのネットの情報を拾えるようになったとしても、そこに存在しない情報は観測されず、実在が否定される。

近年はインターネットが第二の現実になりつつありますが、記録されない今目の前の時間も大切にしたいなと思いました。

またブレイズの、甘い桔紅酥を巡る話も面白く、またオチも切なくも愛を感じる内容でよかったですね。甘味は保存料にもなる...甘味は桔紅酥の繊細な味を壊したかもしれないが、同時に、遠く離れたヴィクトリアに、百灶の味を届けるためのゆりかごにもなったのですね。

桔紅酥の元ネタはそのままは見つけられませんでしたが、 酥という文字はサクサクしたものを表すそうです。考察して再現料理を作ってる方もいました!すごい。

80c.jp

ちなみに本当にどうでもいいですが、香港のパンダクッキーで有名な奇華餅家の老婆餅はほんまに美味いのでもし機会があればぜひ。

 

気になっちゃったので、ステージごとの説明を記録。実在の料理も架空の料理もあるみたいです。

 

陳皮菊花茶

柑橘の皮を四十年ほど寝かせた陳皮と、今秋に摘んだばかりの菊花を一つの茶杯で楽しむ。歳月の経た代物は、なお繊細な味わいを残しているのだろうか?

 

翡翠墨玉 

さっぱりとした前菜。苦瓜と木耳を醤油、砂糖、熟成させた黒酢で味付けし、最後に唐辛子を一握り振りかける。酸、甘、苦、辣の滋味を堪能できる一品だ。

 

一清二白

青葱と豆腐の和え物を「潔白」な味わいに仕上げるには、相当な経験と技術が必要となる。

 

糖瓜粘

「二十三日、糖瓜粘。竈の神である灶王爺が天に昇る日。良きを知らせ、悪きは口を閉ざして語らず。」

 

油潑撦麺

捏ねれば捏ねるほどコシが生まれ、叩けば叩くほど反発したがる生地もある。

 

雪裡蕻

新鮮な野菜を甕に隙間なく詰め込み密封する。その時が訪れると、蓋では抑えきれないほどの香りが漂い、甕の封も自ずと開かれる。

 

醍醐湯

食後に茶を嗜む。脂のしつこさを和らげることはできるが、積年の憂いと無念を晴らすことはない。口に含めばほのかに甘いが、後味は苦みの余韻が長く続く。

 

公栗

栗を剥くには、力ずくが最も難しく怪我をしやすい。栗を二つとり、一つを油につけ、もう一つを水につける。それを鍋に入れて、残りの栗で蓋をし、火にかけて雷の音が鳴るのを待てばいい。

 

勝肉火方 

冬瓜を肉の形にくり抜き、素火腿を中に詰め込んで葛餡をかける――出来上がった甘じょっぱくてこってりとした「紅焼肉」は眼を欺くことはできても、舌を騙すことはできない。

 

五省

五種類の獣肉で作った料理。「省」には省察するという意味が含まれており、かつて官吏が百珍宴で真龍へ諫言した際にこの料理を献上した。

 

黄玉蔵心

カラっと揚げられた黄金のお焦げが、まるで鍋蓋のように皿を覆っている。食卓の上でお焦げを割ると、その中に隠されていた料理がようやく姿を現し、正体が明らかとなる。

 

長寿麺

長寿麺の良し悪しはその味ではなく、誰が作ったものであるのか、それを食するものに対してどのような願い込めて作ったのかにある。

 

須問湯

鍋になみなみとした濁ったスープに、一点の澄み。他者に道を尋ねるくらいであれば、自ら求めた方がよい。

 

翻訳

今回は割と歳イベにしては読みやすかったと思いました。レイズが追う事件のあたりはちょいむずだったけど、テーマが料理で馴染みやすかったのと、ユーくんが小難しい言い回しをあまりしないしブレイズも分かりやすい性格をしているおかげで楽しく読めましたね。

 

音楽

饭点到了,快洗洗手去,准备开饭——

 

相見歡

ロビーの曲。相変わらず良すぎる。しっとりとした雰囲気のなかに、少しだけ愁がある感じで、弦の音が心地よいですね。途中で聞こえてくる人々の営みの音もいい...

塞壬唱片 - A WORLD FAMILIARLY UNKNOWN

 

百里灶燃

序盤バトルの曲。いっつも言ってますけど歳イベは炎国だから中国伝統楽器のかっこいい曲が聞けて嬉しい。

塞壬唱片 - A WORLD FAMILIARLY UNKNOWN

 

火曜門楹

後半バトルの曲。なんだか京劇みたいな声が入ってませんか?疾走感がたまらん〜〜

塞壬唱片 - A WORLD FAMILIARLY UNKNOWN

 

枯枰競

ラスボス戦の曲。ラスボスがなんなのかは正直よくわかんなかったけど曲自体はやっぱり最高にCOOL

塞壬唱片 - A WORLD FAMILIARLY UNKNOWN

歌詞があるそうです。

故人若归来
花开自犹在
魂落九霄外
为何故人迟未还
桂花香
月儿圆
兄弟姐妹来团圆
弟弟哭
妹妹笑
酸甜苦辣熬一灶
你一筷
我一碗
姐姐睡了留一盘

姉さん(泣)

 

天下一白

ラスボス戦の後のイベントシーンの曲。開けた空間を想像させるような流れが素敵です。

塞壬唱片 - A WORLD FAMILIARLY UNKNOWN

 

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キャラ雑感

ユー

末弟なのでちょっと負けん気強くてカワイイ!!のに、それはそれとして歳なので、定命のものたちへの慈しみや、世の中への理解の深さもあり、そこのバランスが絶妙すぎて最高でした....

前回の歳イベで、シュウ姉が思いを継いだ神農の願いは、ひもじい思いをする人がいないように、みんなをお腹いっぱい食べさせてあげたい、というものでしたが、どんな人にも等しくご飯を食べさせるというユーくんのポリシーはちょっと似ているなあと思いました。

以下好きなセリフをつらつらと。

私はこの生涯で、何かを為せたわけではありません。しかし、ただ一つ心中に抱いた理想と道義に背いたことだけはないと自負しておりました。
それが命の果てまで来てようやく気付いたのです。彼女たちに対して、してやれなかったことがあまりにも多いと....
何言ってるの...人っていうのはそういうものでしょ?貸して借りて、それで成り立ってるんじゃないか。誰に対しても心の底から胸を張れるって思うような人がいれば、それこそ人でなしだよ。

持ちつ持たれつの考えが好きです。

ここに食べに来るのは、みんな隣近所の人たちさ。ツケで払う人もいるし、支払いの代わりに大きな箱に入った新鮮な果物をいくつも譲ってくれたり、店の家具の修理を引き受けてくれたりもする。

彼らが世話してくれなかったら、この店はやっていけないよ。

だから、そうしたツケはほんとに清算がしにくいんだよ...

商売ってそういうものでしょ、食うか食われるかの勝負だなんて誰が言ったの?関係を築いて、和をもって財を生ず。そうやって商売は長く続くものなんだ。

和を持って財を生ず、はとても有名な言葉っぽい。歳イベはいろいろ言葉を知れて楽しいですよね。

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(実はリー先生も言ってました!)

 

ユーくんの、食事を通したものの見方もとてもいいですよね。

私はね、初め、人はどうして集まってご飯を食べるのが好きなのか理解できなかったんだ。
これも段々と時間が経つにつれて分かるようになった...人っていうのは、ちゃんと食事をしようとしてる限りは、少なくともちゃんと生きようとする気持ちがあるんだ。
一緒に食事をとることができる相手は、互いに支え合い、共に生きていける人でもある....
すごく難しいことなのは分かってるけどさ...私はずっと待っているんだよ。私たち「家族」がああやって、また一緒にご飯を食べられる日が来ることを。

この世に...完全無欠な料理なんてないんだってね。

この鍋のスープをどれだけ煮込んだところで、それだけで足りるくらい全ての味を中に閉じ込めることはできない。一回の食事で出される料理の中の一つにすぎないんだから。
それに宴席でどんなに種類豊富な料理を出したとしても、楽しめずに満足できない人は必ずいる。
でも構わないんだ。人は食事を終えれば、自ずと次の食事のことを思う。そうやって何か一つ期待する気持ちがあってこそ、日々の暮らしに希望が生まれるものなんだよ。
ジエ姉ちゃんの言葉を思い出したよ…「大成は欠くるが若し」。こういう意味だよね?
「水は満つれば則ち溢れ、月は満つれば則ち虧(か) く」......ウァン兄ちゃん、ジエ姉ちゃんが付けてくれた望という真名がどういう意味だったかまだ覚えてる?

この二つの言葉も有名なものだそう。

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私は長い時をかけて周りの様々な人を見てきた一一身分の高い人も低い人も...とにかく誰もかれも見た。いつの時代も、この世の人々は大体がつまらなそうで、楽しくなさそうなんだ。
そう、この世で生きていると、苦しみはあまりに多い。老いや病、生と死、離合集散、求めてなお得られぬ苦しみ、愛する者との別れ...それに比べて、幸福や喜びはとんでもなく少ない。
人は幸福や満足を欲しがるけど、物語に出てくる全知全能の神様なんていないからね。大体がどうしようもなくて、無力を感じることばかりだ......
それで数え切れないくらい何度も何度も不思議に思った。ありとあらゆる苦しみが待っているなら、人が生きることに何の意味があるんだって。
また長い時が経って、ようやく分かったんだ...
悲しみがなければ喜びもない。命が失われる時の悲哀なくして、命が生まれる時の喜びはどこからやってくるの?別れの時の名残惜しさがなければ、出会えた時の嬉しさはどこから来るの...
長く過ごして、遂に理解したんだ...世に存在するあらゆる気持ちは、この世の味わいは、「足りぬ」という一つの思いから始まるんだ。

大成若缺と月满则亏,水满则溢の二つの言葉にも通ずる、この「足りぬ」の考えもとても好きです。万物は相対的で、片方があるからもう片方もある、足りないと思うから生まれるのだという考え方は、少し道教っぽい考え方だなと思いました。

ユーの回想秘録より。

な、なにを言って…

まだわかってないみたいだね.....私があんたを知っているかどうかなんて、そんなに大事なこと?

私からすれば、あんたは客の一人に過ぎない。高官だろうと、物乞いだろうと、白粥を注文するのなら、それを差し出すだけだ。

でも、あんたにとってこの一杯の粥は、果たして飢えをしのぐためのものか、自慢のためのものか、それとも自分への言い訳を探すためのものか。

なんのため…

…なんの...

ほら、その歳まで生きてきて、こんな問いにすら答えられないーいい歳して、今まで何してたわけ?

さっきの木工職人の息子ですら、あんたより立派さ。少なくとも、自分は木工職人になりたくないのだとわかっている。他人から何を期待されようとも、それは他人事でしかない。

「他人から何を期待されようとも、それは他人事でしかない。」というのもいいですよね~。「我は誰か?」という問いに答えられた歳の代理人が言うと、また違った重みがあるように思います。

 

「どれだけ惜しくても、ずっと手の中に掴んでいられやしないんだよ」..でも、店はジャンが継いでくれる。何かをすれば、何かを失う。ずっと同じではいられないけど、継いでくれる人がいるなら、その想いは受け継がれていくのだろうと思います。受け継ぐというテーマは歳イベ共通のものなのかもしれませんね。

小さな料理長:この店に来たお客さん全員に美味しいご飯を食べてもらって、円満な生活を送ってもらいたかった。
厨房の辛酸甘苦、心の喜怒哀楽、世の悲歓離合は、まるっきり同じことみたいなんだよね。
でも鱗獣には骨が多くて、海棠(かいどう)には香りがない。世にはどうにも無念の方が多い。
お腹が減ったらご飯を食べて、眠くなったら寝なきゃならない...家族のことを思えば、やはり会いに行かなきゃいけないよ。
ジャン:ほ...本当に捨てちゃうんですか。名残惜しいとは思わないんですか...
小さな料理長:名残惜しいものはまだたくさんあるよ。でもどれだけ惜しくても、ずっと手の中に掴んでいられやしないんだよ。
ジャン...私がいない間、この店をしばらくあんたに任せてもいいかな?
私が料理するのをこれだけ長く見てきたんだ。あんたなら、私が作れるものは大体作れるでしょ。今後お客さんが来たら、私の代わりに世話してやってよ。

がわいぞう(泣)

ブレイズ

行動派なので物語が前向きにころころ動いて楽しかったです。作中では自分のルーツをめぐっていろいろ悩むシーンもありましたが、ユー君の

言った通りだよ。自分を見失っちゃってるでしょ?
自分がどこからやってきたのかも、どこへ行けばいいのかも分からない。だから他人の言葉をちょっと聞いただけで名字も名前もはっきりしなくなって、自分が誰かも分からなくなるんだ。
それは間違いだ。まったくの間違いだよ…
柑橘の種が風で江南から江北へと飛ばされ、そこで根を張り、花を咲かせ実をつける時に、種を相に変えたのは、江南でも江北でもなく、数十年の日差しと雨でしょ。
柑橘と柑桔。江南と江北では書き方が違う。でも両者は同じもので言葉が違ったところで生った実に何か違いがあるわけではない。
物には本末があって、事には名実がある…このことを理解して初めて、その他のことを聞けるんだよ。

助言を経て、自分は自分なのだと思えるようになれてよかった。

親父は、彼女の門下で学んだのは数日だったけど、幸運にも彼女の「一言の恩」を受けたことがあるって言ってたよ。

その一言は炎国の古い言葉で、大体の意味は、この世の正誤は立場によって変わるけど、人が貫くべきは心の良知だというのは変わらないっていう話だった。

「世事は詭(みだ)りに随ふ、謹んで良知を致せ。」

まとめ

「相見歓(相见欢)」は、中国古典詩の詩形の定型名の一つで、この相見歓と呼ばれる詩形で書かれた最も有名な作品は、10世紀に生きた南唐の最後の皇帝・李煜によって書かれた、「離別の悲しみ」を詠う詩だそうです(イベント「相見歓」攻略まとめ - アークナイツ攻略 Wikiより)。

出会いがある限り、別れがある。でも、別れがあるから、出会いがある。食を通して、様々な人の別れと出会いを感じることのできる、とても良いストーリーでした。

なんだか望のチャレンジも佳境で、どうなっていくのか楽しみですね。