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Cyberpunk 2077 仮初めの自由をクリアしました(ネタバレあり感想)

ゲームについて

Cyberpunk 2077は、2020年12月に発売された、CD Projekt REDによるアクションロールプレイング/オープンワールドゲームです。そして「仮初めの自由」は、2023年9月に発売された追加DLCであり、この記事はそれについての感想記事となります。

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きっかけ

もともとの本体ソフトの方は発売日に買っており、しかも実を言うとゲーミングPCを買ったのはサイパンを快適にプレイしたいからという理由からでした。しかし発売当初はなかなかにバグがすごくて、Act.1でジャッキーを失ったこともあり、なかなかモチベがわかず、Act.2の2割くらい進めたところで止まってしまい、たまにドライブのために起動するくらいでこの今まで積みゲー状態になっていました。(途中でエッジランナーズを見て再燃しかけたこともありましたが話忘れたわと結局続かず)しかしある日、2.0アップデートは戦闘の育成システムをガラッと一新しており、かなり改善されており、アプデ前のプレイ体験と全く違う。バグもほとんど潰されたよ、という話を見かけまして、システムそんなに変わったのならちょっとやってみようかな、そして話を忘れているので、DLCは話の始まり〜終わりがここで完結しているため復帰にもいいなと思い、プレイに至りました(復帰当初はDLC開始条件を満たしておらずパシフィカまで進める羽目になった)

感想

プレイ時間はDLC部分のソミルートだけで約15時間でした。サイドは最低限しかできてないです。

ストーリー

ソングバードルート(ソミを月に飛ばす)でした。ジョニーに祝杯をあげられると聞いたから選びました。どっちもあんまり信用できなくて、ソミを助けたいというよりはなんとなく大統領がむかついたので選んだというのもあります。笑

なんとも複雑な読後感というかプレイ後感というか...すっきりした終わりではないのは確か。エッジランナーズとなんとなく似ており、全てを手に入れることはできず、多くの犠牲の中で、助けられるものもあった、というストーリーラインなのですが、エッジランナーズのような読後感かといわれると、そこまでキャラクターに感情移入しなかったのでそういう気持ちではないんですよね。ソミはルーシーのような立場のキャラですが、ソミを助けた時の気持ちは、もし私がルーシーを助けられたならこんな気持ちではなく、つまり可哀想なヒロインを助けたというような達成感や満足感は全くなく、それこそ「世話の焼ける子」だな、という半ば意地みたいな気持ちだったし、散っていったリードは組織に囚われた可哀想な人間の面もありますが、個人的には他人の救済に自分の救済を求めているししかもそれに対して無自覚な感じで、また行動についてもその意味が正しいと、他人に対しても自分に対しても(そう思い込んで)正当化するところは気に入らず、悲劇的な英雄、みたいな気持ちも抱けませんでした。これらは悪い意味ではなく、ソミもリードもとにかく人間くさいキャラクターで、フィクションのキャラクターって人間の嫌な面があまりなかったりしますが、2人とも(サイパンのキャラは多くがそうですけども)人間こういうところあるよなぁ、と苦々しい思いで共感できるようなキャラクターでした。 ソミが助けたくなるような性格じゃないところが、このゲームたる所以ですよね。なんかいいことしたなーと気持ちよく思考停止で浸らせてくれない。むっちゃ面白いゲームしたというよりは、哲学書を読んだ後みたいな気分です。

あと、私はネットラン重視でビルドしているのですが、ネットラン特有の会話選択肢がいろいろ選べて楽しかったです。テック系も結構あったな。

あとパーティでの歌シーンが綺麗だったなあ~。

戦闘

全体的にスパイっぽい展開というか、ステルス多めな印象でした。最序盤のドローンから見つからないようにするところとか、めっちゃ失敗した。昔のデータで銃はもう拾ったもんを使っていて、重量を減らしたかったためアタッチメントは全部捨ててきており、サイレンサーがないせいで序盤ほぼステルスできなかったという間抜けプレイ。サイレンサーって大事なんですね、めちゃくちゃ実感した。途中リードの潜入を手助けする時のライフル(たぶん)にもサイレンサーがついてるおかげで敵にバレないし。やっぱりゲームで実際に体験すると、自分の行為が敵にバレるとかバレないとかがよく実感されますね。ほかにもめっちゃ強いけど死ぬほど反動があって画面ブレする銃とかあって、普段全くFPSやらないので、FPSという視点ならではの没入感を久しぶりに味わえて楽しかった。敵からハックされるのもたぶん昔のバージョンだとここまでハックされなかったので、めちゃくちゃビビりました。

スパイ活動のドキドキ感もFPSだからこそ倍増してると思います。例えばフランス双子になりすましてハンセンと会話するところとか、相手の顔が目の前にドアップであるのですごく緊張しました。

あと、最後の戦闘は本当に激戦で、敵がめちゃくちゃ出てきて、ウワー!!って感じで、もう限界!!えっヘリまで来たァ!!もう無理ー!!ってところで(何回か死んじゃった)ブラックウォールのパワーを使えるカタルシスがすごかった。まず激戦の難易度バランスがちょうど良くて、ヘリの射撃から身を隠すのもほんとギリギリって感じで焦った。ブラックウォールパワーは開放感すごかったけど、敵の断末魔があまりにも痛々しくて申し訳なさの方がデカかった。その後のリードとの一騎打ちは一回負けました。

車を乗っ取るの楽しかったな。笑

翻訳

超どうでもいいけど、この前知ったring a bellという言い回し(ピンとくる)が聞き取れたのが嬉しかったです。英語版女性Vの声が大好き。

姉貴…好き。。。

最後に寝てしまったソミを連れだすここの「世話の焼ける子ね」っていうセリフ大好きなんですけど、原語版聞いてみたらcleary need some helpなんですよね、だいぶ違ってびっくりしました。こっちは「助けが必要ね」って感じですよね。名意訳だとおもいます。

音楽

やっぱかっちょいいっすね!!!個人的に印象的だったのは、最後の最後にソミが真実を語りだしてBGMが声だけになるところ。審判の時みたいな雰囲気というか…旅の終着点みたいな感じというか…終わり、感がすごい。

キャラ雑感

ソミ

彼女は終始あまり信用はしていませんでしたが、でも最後の最後でごめんやっぱ1人しか助からんのやわと言われた時には流石にえぇ〜...となりました。怒りやむかつきというよりは、呆れと慣れ、みたいな気持ちでしたね。ここで最後に裏切ってリードに渡すこともできましたし、気持ち的にも、彼女を悲劇のヒロインと考えることはできず、助けたいというような気持ちは皆無でしたが、なんかここまできたらもう意地というか、妨害してきたやつらへの妙な反骨心というか、生き汚さに感服というか、そういう謎の気持ちで助ける選択肢を選ぶという不思議なプレイ体験でした。後個人的に、Vが随分お人好しな感じにキャラ付けされている感じが本編よりもあって(本編プレイがかなり昔だし途中までなのでアレですが)、自分で選んだ選択にも関わらず、Vお前いいやつだなぁという気持ちもありました笑。シャトルに連れて行く時の「手のかかる子ね...」ってのがまじ姉貴。こんな裏切りにあうなら憎むのが当たり前なのに、許し、依頼を果たすVの姿は、こんな世界でだからこそなおより強く美しく見えました。まじいいやつすぎ。罪ばかりの世界で赦しを行える人間は救い...あと、私はノーマッドVなので、宇宙はどこまでも自由よ、っていう声かけも好きでした。

エッジランナーズを見た身からすると、月はデイビッドとルーシーが行きたかった夢、という印象が強いため、何にも縛られないそこに向かうロケットを見届けているときは妙な感慨でした。色々裏切られたけど、なんかもういいか、っていう。

素直に捉えると、彼女はどこまでも結局は自分が助かりたいだけで、それだけのために周りを巻き込んだ自己中女、という評価もできると思いますし、私もこういうやついるよなと思いましたが、いろんな感想を読んでいて、彼女は子供なんだ、という視点の意見を目にしてから、見方が変わりました。騙すなら徹底的に騙せばいいのに、妙に良心があり、というか罪悪感があるのかな、途中でバラしたり、Relicも初っ端から強化してくれたり(もちろん誘う口実でもありますが)する。でもこの行為は、相手を思ってではなく、自分がその自分の行為に耐えられないから、許されたいから吐露してしまっているみたいな気がします。また、自分が騙すのは棚に上げて、他人に騙されることについてはものすごく怒りを露わにする。自分のやってることに責任を持ってないんですよね。徹底的に騙してきた方がむしろ悪役という感じで手放しに憎めたのに、そうじゃないからこんなにいろいろひきずる読後感なんだと思います。ただ、可哀想だなとはあまり思えませんでしたね。大統領の手駒になったきっかけはそもそも自分でやったハックが見つかったせいな訳で、急に拉致されたわけではないのに、彼女は他責思考で全部周りが悪いかのように話しますし。ここも子供っぽいですね。ただ、哀れだなとは思います。道を正してくれる大人がいなかったんだろうな。

ただ、また別の視点として、別の視点から見たVだという意見もありました。時限爆弾である自分の命のためになりふり構わず行動するところや、その原因は発端は自分である(ソングバードは上述した通り、Vはアラサカに突撃したのは自分の意思です)ところなど。だから、ソングバードに対する指摘はVに返ってくる、という。確かに主人公には感情移入というか、自分視点で受け取りがちなので、その行為、すなわち、自分発端のことに対して文句を言い周りを巻き込みまくるというのを客観視するとこんな感じなんだなというのを味わえて、なんか妙に反省しました笑。ただ、Vは騙して裏切ったりは....してないはずです。このとにかく騙してくる姿勢は、Vにはヴィクやミスティなど信頼できる仲間がいたというのがソミとの違いだったのかなーとかも思います。彼女の周りには信頼できる仲間は1人もいませんでしたし、尊敬に値する大人もいなかったんだろうなと思います。だからこそ、境遇的にも真相を知る意味でも唯一の理解者となれたVを自分の手で騙して命を救わなかったことを一生後悔してて欲しい。命はやるから、一生苦しめ!!あと見た意見でなるほどなと思ったのが、「共感性」の有無。サイバーパンクでは、共感性=人間性は、サイバーサイコになるかならないかの境界を司る存在です。どうにもならなくなった時でも、自分を顧みず、相手に手を差し伸べる、(このルートでは)Vはそれをできましたが、リードは結局ソミは殺します!って大統領に言っちゃうし、ソミは自分だけ助かろうとするし。2人が、他者に共感し、信じ、 自分のためでなく誰かのために行動することができたらもう少し何か変われたのかなあと思います。まあこの世界、そんなに甘くないので、結局直接の生き死には変えられないかもしれないですが、その思いが繋がって、少しずつ世界が変わったりしたらいいのにな。

 

リード

彼は彼でソミとまた違った方向に嫌なところがあるキャラだと思います。ソミはある種素直なところがあると思いますが、リードは言い訳がましいというか、自分の行為の正当化を他人を使って無自覚にしている感じというか。例えばソミが最後に助かるのは1人だけと話してしまうということは、自分が助からないかもしれないわけで、生き汚いにもかかわらず、ぎりぎりそこの良心は保たれていたともいえます。一方、リードは大統領に逆らってソミを助ける決断もできたのに、結局大統領命令でソミを殺します(少なくとも捕える)と言ってしまう。ソミを救いたいっていってますが、これは本当はソミのためではなく、自分のためなんだと思います。自分の罪悪感を紛らわそうとしているだけ。他者を救うことで自分を救おうとしている。

死にたくない、という気持ちを、ソミはストレートに出していますが、リードはそれを表立っては認めず、大統領のため、国のため、ソミのため、と場面場面で自分にも他人にも申し分がたつ言い訳を探しているように見えます。また、なるほどなと思った感想に、月に行けば助からないとリードは言うが、それは助からないと思いたかっただけ、月に行かれたら困るから、というものがありました。

自分すら騙し、自分の行為を正当化し、自己保身を無自覚かつそれが大義のためだというように振る舞うところが、嫌〜なリアリティがありますよね。開き直ってない分、私はどっちかというとリードの方が苦手です。苦手というか、同族嫌悪かもなぁ。

ただ、罪悪感や責任を感じているのは嘘ではなく、そこは本当にいい人なんだと思います。本当に冷酷無比なスパイなら何も感じないはずで。だからこそ、マイヤーズは逆らえないと理解して飼い慣らせているのでしょう。命令に従っていれば、自分の行為が間違っていたのか正しいのか何も考えずにすみますからね。責任を考えなくてすみますから。大義名分に甘えられる。

もうひとつなるほどなーと思った意見に、"人情のサンクコストに呑まれた男"というのがありました。サンクコストとは、すでに支払っており、取り返すことのできないコストのことです。ここまできて、自分が裏切ったら、これまで踏み躙ったものたちに示しがつかない、と、自分の行動がそれに縛られ、合理的な判断ができなくなっているという。

死にたくない、そして自分の責任から逃げてしまう、という行動を、ソミとリードで全く異なる形で発現させているんだなー。なんというか、ソミは子供で、リードは大人って感じがしました。(いい意味でも悪い意味でも)

あと、任務失敗したときとか悩んでる時の顔があまりにもしょんぼりしているといわれていて、見返してみたらたしかにめっちゃしょんぼりしてて急に可愛く見えてきました。笑

 

アレックス

サブキャラポジの彼女ですが、この人は一番素直な感じがします。もう辞めてえ!!っていう。笑わかりやすい。一緒に下手なダンスをするシーンが妙に印象に残っています。この曲好きなのよ!と無邪気にジュークボックスに向かう姿が、大人とかスパイとかナイトシティとか、そういういろんな汚れとかなく、本当に純粋な、透き通った飴玉のような感じで...

最後にVのこと殺さないでおいてくれるのが好きです。リードだったら殺してきそう〜〜

バーの雰囲気が好き
ジョニー

なんかDLCで相棒感爆上がりしてませんか?メインを色褪せぬものまでしかほぼやってないしサブの記憶は遠く彼方なのであれですが、ドッグタウンというナイトシティとはまた違った不慣れな土地で、序盤は見つかってはいけないスリル感、後半は協力するメンツがみんな信用ならないところから、身分は知ってるし、慣れているし、クソ野郎ではあるけども、心身を共有しているという点から、ジョニーが唯一信用できる相棒感が半端なかった。何にでも悪態つく態度が、いつもはムカつくけど笑、 DLCのキャラはみんな腹に一物抱えているので、むしろ素直で建前がなくて癒しだったし、体制くそくらえのロッカーボーイな態度も、従軍経験から今回は随分真っ当な方向で警鐘を鳴らしており、なんか随分まともな感じで珍しく大人って感じだった。Vとジョニーが普段喧嘩してるけど救えないクソ野郎に対しての意見は意気投合するの好き。

序盤、ソミに乗っ取られてジョニーがしばらくいない時間がありますが、いなくて寂しいなーとはそんなに思わなかったんですけど、帰ってきた時の安心感が結構デカくて、自分でもびっくりしちゃいました。笑マイヤーズに宣誓しないと褒めてくれるの嬉しい。

誉めてくれて嬉しい

私は宣誓しなかったのですが、宣誓すると、後の会話で敬礼からの自害っていうアイロニックな動きをジョニーがしてくるんですね。あと、リードに電話かける時に、旧式の電話を知らないVに受話器のやり方教えてくれるの好き。

リンリン🤙

👍

ここキュートすぎない??普段のジョニーといい意味で違いすぎる。これキアヌじゃね??ここの電話シーンは、上に書いたようにDLCでは彼が唯一の味方感があるので、それも相まって普段ウザいのにシンプルな兄ちゃん感があるのが好きです。あとそういえばジョニーは昔の人でVは現代っ子なんだな…って歳の差にちょっとグッときちゃった。女Vとジョニーのバディ感、新感覚でたまんないんスよ....

ジェイコブとテイラー

大統領と隠れてる時に急にきた奴。地味に好き。強く生きろよ。

隠れ家のこれまで訪れてきた人たちの思いが詰まってるこのノート好き

まとめ

なかなか苦い思いをさせてくれるDLCでした。それでこそサイパンよ。