感想置き場

いろいろと感想を残します

SANABIをクリアしました(ネタバレあり感想)

ゲームについて

パブリッシャーは韓国NEOWIZ、開発はWONDER PORTIONという5人の大学生でつくったゲーム開発チーム(調べてびっくりしました。このクオリティで!?!??!!?!)による、2Dワイヤーアクションです。背景アートに韓国語が結構出てきて新鮮。

store.steampowered.com

gamebiz.jp

きっかけ

サイバーパンクなゲームが好きなので、定期的にチェックしていて、確かアーリーアクセスのときにアートスタイルもいいし2Dアクションならまあ面白いでしょう、そんな高くないし買っちゃお~~ってテキトーに買って、訓練場のところでなんか途中でやめてたんですが、正式リリースされたみたいだったのでほーん。とレビューを覗いたらストーリーが大絶賛されてて、これはやらねば!と思い立ってプレイしました。

 

感想

全人類やってほしい!!!!!!!!でも翻訳がガバいところだけちょっと我慢してほしい!!ていうかそこもう金払ってでも私翻訳手伝います…………この良さを広める手伝いをしたい……宣教師になりたい………………

約11時間でクリアでした。

物語

まず、今のクリア直後の吐き出しをさせてください…

いや~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~まじで良かった。

別れは必ず来る、避けられない。でもその思いを継ぐことはできるし、悲しみを分かち合うこともできる。そして…前に進むんだ。

大事なのは最後までやり遂げること…じゃなくて、そこまでに何をしてきたか。なにかをやり遂げることができないなら、それは、そしてそれまでの過程は、全て意味がないのかというと、そうじゃないですよね。…あとこれは、前者の「別れは必ず来る」っていうテーマにもかかってるんじゃないかなと思って…いつか終わりが来てしまうなら、それまでの行為は無意味、なわけではない。一緒に過ごす時間は貴重なもの。だから、いつもありがとう…っていう…

最後のハーモニカを思い出すときの過去のマリちゃんとの会話が、愛おしくてたまらなかった。後ろ向きになってしまうパパに対して、精一杯励まそうとする、そして感謝を伝えるまりちゃんは、母と父からの愛情を受け取り、そしてそれを返していて、お母さんはなくなってしまったけど、お母さんからもらったものをしっかり受け継いでいるんだなと思いました。

そして、作中の主人公(ワーカー)も、改竄され尽くした、元の原型が殆どない人格だったけど、それでも、もとから受け継いだものと、そしてきっと作中の「冒険」でマリからもらったもののお陰で、盲目的に復讐にとらわれるのではなく、前に進むことができたんじゃないかな、と…

出会いと別れ、受け継ぐもの、前を見て進むこと…

なんだか前に進む力をもらえたストーリーでした。

一旦落ち着いて、クリア後全体ストーリー感想ですが、再度言ってしまいますがマ~~~~~~~~~~~~~~ジで良かった。前半~中盤くらいまでの、ある種のバディもの感もある、性格が正反対だけどもなんだかんだ力を合わせて巨大な陰謀(の香り)に立ち向かっていく部分での盛り上がり、そして明かされる真実でのどんでん返しによる驚き、終盤では丁寧に二人を対比し、これまでの旅路を振り返って、テーマをしっかりまとめて(安易なハッピーエンドではなく、筋の通った〆かただったなと思います)贈られるメッセージでの涙、おまけでちょいちょい差し込まれるギャグも相まって、もうなんか全部入ってるっていうか、100点っていうか、一億点っていうか……………なんかもう私が物語に求めているものが全部詰まっていて、なんか夢かなっちゃったな(??)っていう気持ちになりました。(バディものが好きなのと、成人男性(寡黙)と少女(元気)の組み合わせが好きなのと、あとテーマにもなっている”別れは必ず来る””受け継ぐものはある”っていうのが自分の中で結構芯になる価値観っていうのもあって。あとどんでん返し大好きで、信頼できない語り手状態だったことが判明して見てたものが間違っていた、っていう展開も超~~~~~~~~~~~~~~好き)

ストーリー好きすぎて別記事で丸ごと全編振り返ってしまいました↓

gorilla-chikuwabu.hatenablog.com

アクション

ワイヤーアクションのゲームってほぼ初めてでしたが、最後の最後、マリを迎えに行く辺りでようやくアクションをわりと思い通りに動かせるようになり、慣性を感じながら地面に足をつけずノンストップでぴょいぴょい進む状態になれる時間が増えて楽しかったです。クリア後に序盤のステージやり直したらめっちゃスムーズに移動できて、やってる間はあんまり明確に感じたことはなかった(ステージ自体の難易度も上がっているのでz)けど、振り返ると自分のプレイスキル成長してたんだなっていうのが実感できてなんか感慨深かったです。移動と攻撃がセットになっているでうまくいくとポンポン進めて気持ちいい。ただ、プレイ中、ストレスタイムは多分にありました笑特に感じたのが、リトライのためのロード的な時間がちょっとこういうアクション系にしては長めなこと。Celesteくらい短ければかなりマシだったんじゃないかなと思います。死にゲー、というほどではないかもしれませんがそれなりにリトライを繰り返して慣れていくタイプのゲームなので、リトライに時間かかるのはかなりマイナスポイントですね。特に監督者のところは爆発するときのエフェクトが派手+時間かかる+チェックポイントの間隔が長い、のも相まって死にまくると結構ストレスが溜まりました。アクションのレスポンスとかそこらへんは全然問題ありませんでした。

グラフィック・演出・音楽

ドット絵+サイバーパンク+EDMは優勝ということは、人類の知識の中でも数少ない自明な事柄として有名ですね。

ドット絵(風)で、顔もはっきり見えないのに、人物たちの心が動きでよく伝わって、アニメーションすごいな~と感心しました。マリちゃんが可愛いシーンの可愛さがすごい。あとサイバーパンクな街並みから得られる栄養素(ネオンサイン、クソデカ電子公告など)はしっかり満たしてくれて、私は成仏しました。

最高~~

音楽も雰囲気を盛り上げてくれて、道中のEDMは切なさとかっこよさとノリすべて兼ね備えていて満点だし、途中の真相がわかるところは不安になる感じが最of高(こういう自分の認知自体が全部間違ってましたっていう種明かしとともにぐにゃっとした曲がなる演出好きすぎてご飯5億杯行ける)感動的なところで流れるピアノの旋律も心に響くし、ハーモニカはもう言葉はいりません…あと思ったのが、「音楽がない」状態もうまいこと緊張として入れてくれていることでより音楽の良さが引き立っているなと。あと、「サンナビ」の旋律でうまいなーーーと思ったのは、このフレーズ、実はタイトル曲の時点で入っていて、さらにはマリちゃんが自前のイラストで説明する時のポップな曲(マリちゃんのテーマ)にもしっかり入っています。途中の真相を知るところのぐにゃっとした曲に入っていたり、最後のマリを救いに最初からやりなおすところの曲にも入っているんですよね。ほかにもいろんな曲にちりばめられています。なので、プレイヤーはこのフレーズをあのシーンで聞いたとき、ほとんどの人は"聞いたことある"フレーズだ、と認識することができるようになっているんだと思います。プレイヤーの体験として、深層意識からそのフレーズが蘇ってきたような体感ができるようになってるな~と感じました。マリちゃんのテーマには実はがっつり初めから入っているのに気づいてもう涙が止まらん。主人公の深層意識に、サンナビのフレーズだけまだ消えずに残っていて(タイトル画面)、それが真相を知ってよみがえり、作中のBGMにも反映されていったんじゃないかなって考えたりしています。

翻訳

プレイ済みの方なら全員が分かってしまう笑、問題の翻訳です・・・・・中盤、そして終盤のいくつかに、どうした!??!!?ってなるくらいの急なエキサイト翻訳が差し込まれてきて、雰囲気をぶち壊してしまったシーンがいくつかあり、カナリ不安になってちょっと英語に切り替えたりしました。最終盤のマリとのシーンはほぼ違和感なくて安心しましたが、あの監督者あたりの急な直訳による雰囲気ぶち壊し+認識ズレに怯えながらプレイすることになり、翻訳って大事なんだな・・・って悪い意味で体感できました笑いや、はじめからこうならむしろなれるんですけど、皆さんレビューで書いてますが序盤全然いい感じなのに途中から予算0みたいな翻訳がはじまるんで、ほんとにストーリーに浸ってたのにエッ!??!って気持ちで一気に変に現実に戻されてしまい、ここはカナリしょんぼりポイントでしたね。ギャラいらないから翻訳の手伝いしたいくらい、ココが良くなればこの作品もっともっと良くなるのにな・・・と思う次第です。だって、マリが、さらには主人公までが急にですます口調で話したらは??ってなっちゃうよ・・・heが彼だったり彼らだったり、それ以外にも結構理解の阻害になりうる誤訳がちりばめられているんで(本当の本当の箇所は翻訳が結構しっかりしていたのであまり間違って理解してしまうような自体にはならないと思いますが)。惜しい!!

キャラ雑感

パパ

思い出の中のパパは、マリを常に愛していながら、でもきっと戦闘以外のことは不慣れで、いつもぎこちなくて、でも精一杯マリを楽しませようとする、そこがすごく愛おしいキャラだなと思います。正直ちょっとびっくりするぐらいパーソナリティが好みでした………………………………………………………………

そんでもってそんなパパの人格が非常な復讐鬼戦闘マシーンにされてしまっているのがもうちょっとたまらないっていうか……………………………………でも序盤からでも見え隠れするマリちゃんを心配する態度とか、消され切れてなくて………………………………序盤の寡黙で復讐以外はどうでもいい感じの時のマリちゃんとの凸凹コンビ感がめっちゃ好きで、もうめっちゃ好きです(語彙力ここに眠る)。過去編のマリちゃんがはしゃいでるときに付き合ってあげる優しい面と、本編でまだ記憶が戻ってないときに冷たくあしらう面の二度味わえて、一粒で二度おいしいっていうか…………

サンナビという概念が、人格を構成する不可欠な要素として、深く根付いている…って本編で研究者に言われていましたが、あそこでもらったマリからの言葉が深く残っていたんだな…………と思いました。それが消されたとしても、思い出せるくらい…… 

本編ではきっとパパはやっぱり一人で悲しみを背負ってしまって、悲しみを消しきれず、マリちゃんは間違った方法でパパを救おうとしまったけど、それでもサンナビの話や誕生日の話とか、そんな中でも素敵な日々は過ごせていたと思うので、マリちゃんが間違っていなければ、いつかはパパも悲しみを受け入れてマリちゃんと一緒に前に進めたのかなって思うと……………………………………………………………どうして……………………………………………………

腕が丸ごと義腕って、事故でそうなったのか、それともストイックなあまり身をささげたのかわかりませんが(後者な気がする)、現役時代も相当戦闘マシーンっぽかった感じしますよね。でもかなりみんなから尊敬されているし、前向きな動機で(国を救うとか?)軍に身を捧げていたタイプだったのかな。奥さんと出会って子供を持つくらいだしね。軍に身を捧げていたけど、奥さんと出会って家族という大切なものが新しく心の支えとなった上で、それも守るために軍にずっといたって感じかしら。まあ何が言いたいかっていうと、目的のために自分の身すら削ってしまうその危うさが好きっていう話でした。マリちゃんとの記憶のなかで会話してるとき、あんなにほほえましいのに腕のごつさだけものすごいミスマッチで、そこが、イイ・・・

あとデザインがめっちゃ好きなんですけど、帽子の形、軍っぽくないな~って思ってたんたんですが、これって韓国の伝統的な武官の帽子みたいなんですね。なるほどな~。服がマントっぽくてワイヤーしてる時もたなびくの最高だし、普段義腕しかでていなくてもう片方の腕はたまにしか出ないのカワイイ。こう・・・ローブとか外套みたいで。あとその帽子のおかげで顔がよく見えないの最高だし、マントのおかげで座ってるときなんか可愛いし、最高

sengokumiman.com

ここの真ん中のホログラム、実は将軍
マリちゃん

思い出の中のマリちゃんは、とにかくとにかくカワイイ。健気。ドットアニメーションのおかげで可愛さが天元突破している。あと、彼女の素直な物言いがとっても好きで、最後のサンナビの話はほんとに大切にしていきたいなって思いました。

本編中のマリちゃんは、たまにはしゃぐところは変わってないなって思いつつも(マリちゃんのコミカル要素のおかげで本編救われたところがかなりある)、たまに見せるほの暗さが可哀そうだけどよかった。ずっと、ず~っと辛かったね………お父さんと、会えてよかった。…別れはすぐ来てしまったけど……幸せになってほしい………

幼少期のほほえましい二人も、本編序盤の凸凹コンビ感も、本編最後での再会を果たしたときも、全部好きです。

あとマリちゃんのお洋服、幼少期てっきり黄色いカットソーみたいなのに赤いスカートなのかなって思ってたら、設定画みたらチマチョゴリっぽくて、こっちでも韓国の伝統的な要素がでていてなるほどな~となりました。こういうところで異文化が感じられるのいいですよね。

カワイイ

カワイイ
ソン少佐

姉御っぽさもありつつ、お転婆っぽさもありつつ。いいキャラしてましたね。マリちゃんとの組み合わせが可愛かった。本編後はマリちゃんとたまに飲みに行ったりしてほしい。

ペク大佐

そんな出番ないけど、マリちゃんが街に残る決断を尊重したり、最後も主人公がヘリから降りるのをはじめから受け入れていたり、冷静に相手の意思を尊重して動ける人だなと思ってみてました。

まとめ

リトライ性の悪さと、途中の翻訳でちょっと減点があるものの、それを無に帰すほどストーリーがよかった。キャラクターも良かった。音楽もグラフィックも良かった。私の好きなものがありとあらゆる点で詰め込まれていて、今生きててよかった。この世に生み出してくれた人たち、それに携わったすべての人々に感謝です!!!!!!!!!!!!!!!好きすぎてswitch限定版も追加で買っちゃった(馬鹿)。グッズも欲しいッ………………