感想置き場

いろいろと感想を残します

夏空のモノローグをクリアしました(ネタバレあり感想)

ゲームについて

2010年(PS2版)に、オトメイトから発売したADVゲーム。いわゆる乙女ゲームです。夏真っ盛りの7月に、一日が繰り返すタイムループに巻き込まれた人々を描くお話です。

 

きっかけ

乙女ゲー全然したことないんだよね~と会話していたら、おすすめしていただきました。スマホで隙間時間にプレイできるのはいいですね。

感想

全体(ストーリー)

乙女ゲーは人生で4作目(ほぼ3作目)でしたが、どきどき♡するよりも、明日に立ち向かうキャラクターたちの姿勢から見られる価値観や、科学部の皆のわちゃわちゃとかを楽しませてもらいました。部長さんが一番好き!やっぱり乙女ゲーは「人を知る」のが楽しいですね。ルート攻略前と後だと、どういう気持でそのセリフを言ったのかがわかったりして。一般的なADVは事件がメインだったりしますが乙女ゲーは当たり前ですが各キャラクターを攻略するので、その人となりというか価値観を深掘りする話が多くなるので楽しい。自分と違う人の価値観やものの見方を知るのが好きなんですよね。つまり恋愛がメインじゃない乙女ゲーがほしい(それは乙女ゲーではない)

キャラ雑感

ルート攻略順で。はじめは何も考えずに入った人からやるのが好きなのではじめはほんとに情報なしで、その次からは、おすすめ攻略順を見て決めました。

沢乃井 宗介

部長さん。しょっくーーーーーーん!!!アップルストアの人物紹介のプロフィールが部長兼天才って時点で気になりまくっていました笑こんなエキセントリックな人と恋愛になるのか??という興味もあって、選択肢を無意識に多めに選んでいたようで一番最初に突入しました。このゲームはどのキャラクターにも、明日を迎えたくない動機がありますが、部長さんのが個人的に一番インパクトがありました。(はじめだったというのもありますが)父が亡くなってから10年もの間、それをなかったことにするために必死に研究してきたなんて…彼の普段の、何者にも縛られず、今の研究に夢中!!といったような前向きさからは考えられませんでした。それこそ、作中で主人公が言うように、強い人だと思ってたので。ある種、一番弱い(弱かった)人で、どのキャラよりも一番後ろ向きに生きてきたのではないかな。だって、過去を引きずるだけでなく、さらになかったことにまでしようとするのは、彼にそれを現実にできてしまうほどの頭脳があったにせよ、一ミリも前を向けていないですもんね。だからこそ、最後に本当に10年前に戻れて、過去を変えられたのにも関わらず、自分の意志で過去を変えるのをやめたのは、本当に偉いなと思いましたし、印象的でした。戻れないならまだしも、戻れてしまったら、多くの人はその誘惑に勝てないと思います。みんなとの関わりを経て、皆との思い出を大切にできるようになって、成長して前を向けたんだなって…

変えられるものもある

ここ、過去は変えられなかった(変えなかった)けど、自分の気持は変えられたっていうのがとても好きです。他のストーリーでもずっとでてくるテーマですが、人も周りも、自分が見ようとしなければ一生真っ暗なままなんですよね。

部長さんが、科学部を作った動機が、端的に言うなら"寂しかった"からなのが、なんというか...愛おしいし、ぱっと見エキセントリックな人だけど、根っこは素朴な人なんだなって思いました。

うれしいことも悲しいことも、ちょっとした思いつきや日々に対するくだらない感想

そういうものを誰にも話せず、ひとりで完結する日々は、虚しくて......とても耐えられるようなものじゃない。

ひとりになりたくなかったから、科学部を作った。最初は先生と2人だった。でも楽しかったよ。話し相手がいるというのは、いいことだな。

この物語は、人と何かを分かち合うことというのもテーマなのかなと思うことがありますが、部長さんのいうように、本当に些細なこと、ともすれば会話すらなくても、だれかと同じ空間にいて、同じ時間を過ごして、同じ時間を共有することは、いいことですよね。そういう場を自分で作った部長さんは、やはり「部長」であり、ある種先生に次ぐ主人公にとっての恩人な気もします。

部長さんがイミテーションが好きだって言うこのセリフが、なかなか印象的でした。

僕はイミテーションが好きだ。

ダイヤより、模したプラスチック。花よりも造花。夜空よりも、プラネタリウムの空。

純粋な情熱からイミテーションを作る者には、本物への憧れと、本物を手に入れたくても手に入れられない切なさがある。

失ってしまったもの、永遠に手許に置いておくことが許されないものに対する、焦がれるような、泣き出したくなるような人の欲望が僕は好きだ。

そして、そんな人の切なる願いが、他人を救うことがある。

それを確認することが、僕の幸せだ。

なかなかない視点だったので。でもたしかに、本物になろうとする偽物は、ある意味でむしろ本物よりも本物を理解しているというか....本物と偽物の垣根って、何なんだろうなとか思ったりしました。もしかしたら部長さんはお父さんのイミテーションをしていたのかもな〜。だからぱっと見、過去に縛られているにも関わらず前向きに振る舞えていたのかも。あと、後半の、失ってしまったもの...他人を救うことがある、というのは、綿森ルートの最後のあたりを表してるのかななんて思いました。

部長さんは、自分が人とずれていることを自覚しているので、人の気持ちを慮るのが苦手だし、さらに自分の気持ちをうまく人に伝えるのも苦手なんだと思います。だから、気持ちが通じ合った時、共有できた時、温かい気持ちをもらえた時に人一倍嬉しいんじゃないかな。例えばお誕生日イベとか、部員に対する感謝のセリフもテンション高くて冗談みたいに見えるけど、ルートをクリアした後はそうじゃなくて、本当に心の底からそう思ってるんだなと思って、ここ以外にも色んなシーンで部長さんが愛おしくなりました。カガハルも冗談みたく振る舞うみたいなところはありますが、あっちは根が真面目で色々考えた末にああなっているのに対してこちらは本当に天然物なので...人になろうと頑張っているエイリアンみたいなところありますよね(ひどい)。

嬉しかったんだね…

嬉しかったんだね....(その2)

綿森ルートの部長さんは、もう一人の主人公ってレベルで活躍してましたね。かっこよかった。途中、父への思いで激昂するシーンがありましたが、そのあと八つ当たりでした、ごめんなさい!と素直に自分の非を認め謝っていて、冗談抜きで人ができてるし大人だとめちゃくちゃ感心しました。父親が綿森のためにどれだけ頑張ったか...と言ってましたが、父親の行動は父親の責任であり、綿森のせいではない。もちろんキッカケではありますが、そうすると決めたのは父親自身なので、そこの責任の切り分けを部長さんはできたんじゃないかなと思います。偉すぎる。そのあとも科学部の部員として受け入れているし、人ができすぎ!ていうか、主人公が原因だって知ってた上で最後にループの終わりを宣言していたなんてなぁ...

最後のループを止めた後の、ツリーが歌わなかった場合ですが、「ツリーが歌わなくても、こんなに夜空がきれいなら、それでもいい」っていうんですよね......この時空の部長さんはルート経由してないので、何だか少ししんみりしてしまう....END後部長さんルート行ってその心残りを一緒に解消したい....

ルート中のどこかでのセリフ、

科学者というのは、案外ロマンチックにできている。現実を積み上げて真実を知ろうとする知への好奇心が、想像の羽ばたきを邪魔するとでも思うのかね?

が、部長さんの想像力というか、何者にも縛られない自由さが感じられて好きです。

あと最後の最後のループの時の

統計学などクソ喰らえだ!

これはお別れ会などではない!我々科学部の新しい門出を祝う祝賀会である!!土岐島高校科学部はメンバー全員、ひとり残らずまたここに集められるであろう!!

っていうセリフ、いいですよね...

加賀 陽

登場人物の中でおそらく唯一本編開始時点でも割と素直に明日を望める人物。まあ、本編開始前にすでに一つ大きな壁を乗り越えているという、他メンバーと大きな違いがあるからですが、でも一番大人というか、現実的な視点を持った人だなという印象でした。カガハルルートは、どっちかというと木野瀬くんの優しさが印象に残ってしまいましたね笑背中を押してやるのが優しすぎる。ちょっとびっくりするくらいNTRですよね...

カガハルルートは、彼の冗談みたいな物言いに対して主人公があしらってた態度が、後半になって主人公が惚れた後に、真面目に告白してもそう受け取ってもらえない立場になった時に、初めてやられたがわの気持ちを理解、実感するというところが結構印象的でした。実際にされないと、やっぱり気持ちはわからないもんだなと。まあカガハルはあえてそうしていた(冗談と思われるようにしていた)ところがあるので、同じようにやきもきしていたかはわかりませんが。あと、初めの方は冗談だと思って流してたのに、気になり始めてから、むしろ苛立つようになった。なぜなら、信じて裏切られるのが怖いから。という話がありましたが、なるほどなと思いました。何事も信じてない方が気楽で、信じることでそれを失う恐れも同時に出てくるのですよね。カガハルが、人を見下せば見下すほど人付き合いが上手くなったと言ってましたが、これは人を信じていなかったからですね。これは作品のテーマである"明日"に対しても言えるかな。希望を持つと、ダメだった時辛い。でもだからといって何も信じないのは寂しすぎる。きっといいことがあると信じて、前を向くしかない、っていう...最後の、お母さんとの仲直りとか、クラスメイトに話しかけるところとかも、そうですよね。踏み込んだら傷つくかもしれない。でも、踏み込まなきゃ、一生そのままだ、っていう。

あとカガハルは唯一初見でノーマルに行ってしまったのですが、最初ノーマルだって気づかなくて、タイトル画面に追加されないのをみて初めて気づきました笑五年後も好きだったら、また会おう!みたいなの、お互いにお互いを縛ってなくて結構好きなんですけど、まあ現時点で結ばれてないから乙女ゲー的にはダメなのか。あと、ノーマルにいった理由が、ラストの分岐選択肢の「一緒にいたいよ」と「応援してるから」をみた時、主人公のこれまでの明日が来るの嫌だよムーブを見てると、応援してるからって選択肢はなんか主人公の本心とは思えなくて、カガハルのために嘘をつく選択肢なのかなって思っちゃったんですよね。だから、本音を曝け出すほうが誠実なのかなと思って一緒にいたいを選んだんですよ。でも、そもそも選択肢って主人公の行動を決めるもので、選択した時点で本心になるんですよね。(少なくともこのゲームでは)。そう考えると、避けられない別れ、明日に対してやだやだするのではなく、前向きに受け入れることが、主人公にとって正解だっていうのはわかります。加えてカガハル自身も前に進みたい人ですしね。主人公の自我というものを考えてしまった結果謎に失敗してしまいました。私は一歩引いてみてしまうタイプだった。乙女ゲーにおける主人公の自我、個性って取り扱い難しそうですね。

五年も別れちゃうの...!?っていう展開は、五年という歳月の重さに対する態度が、ああ、そうだよねこのくらいの年だと五年は長いよね...と、自分のリアクションが仕方ないんですけど年取ったなって思って勝手になんか黄昏てしまいました。この辺りの展開はむしろ励ます先生とかに感情移入してたな。

あとカガハルの好きなシーンは、夏祭りで篠原くんにチョコバナナを買ってくるところです。篠原くんはまつりの食べ物は重くて好かん!と言っているのに買ってくるこの強引さに、はじめは人の話聞かないな~、と思ってましたが、考えてみると、自分では手を出さないようなものを試すきっかけをくれる、新しい世界に連れて行ってくれているんだなと、ふと気づきました。ここは人によって考え方、捉え方は違うかとは思いますが、私が普段自分の価値観にとらわれる方なので、カガハルのこの世界の壁をぶち破る姿勢が眩しかったです。あと、「せっかく皆で来てるんだから、同じの食って感想とか言うだけでも楽しいんだって!」っていうのが、すごくいいなと思って、大切にしたい考え方だなと思いました。部長さんのところでも書きましたが、誰かと何かを分かち合う、分かち合えることはかけがえのない、素敵なことなんですよね~。カガハルは同じ思いを篠原くんとも分かち合いたかったんだなって思って、それがわかったからきっと篠原くんは嬉しいやら恥ずかしいやらでこんなツンデレしちゃったんだろうな。笑

知らない世界をもたらしてくれるのは他人だけ
浅浪 皓 

先生。年長の渋みが出てるね、と思ったら、年齢聞いて若!!!!!ってなりました。このおじさん特有の色気は28じゃ出ないだろう!!体感的には30代中盤〜くらいだった。タレ目イケメン、命が助かる。

先生は放任主義と言われていますが、これは、結局自分の人生を歩む、決められるのは自分自身だけなのだから、一人で歩いていけるように、教え導くのではなく、きっかけを与える、背中を押してやる、というスタイルをしているから、必要最低限に見えてそう言われてるのかなとか思いました。主人公が保健室登校していた時はつきっきりで見ていてくれたわけなので、何でもかんでも放棄しているわけではなく、本当の意味で自主性を尊重して、一人で立てるまでは全力でサポートするけど、何かを決めるのは自分自身なのだから、そこには干渉しない、という考えなんだろうな、と。作中で悩む主人公に対して、「自分で考えろ。....お前がどうしたいのかは、俺は教えてやれない」って言ってたので、そう思いました。

いつまでも未来から目を逸らすわけにはいかないと思ってうちあけた翔くんは強いなぁと思いました。先生よりも強いかも。変わることから目を逸らすのではなく受け入れ前に進むのが大事というか、それしかできないんですよね。

先生は、距離感がちょうどよくて、話し相手としてかなり好きでこのルートも先生との会話をすごく楽しんだんですけど、ただ、どーにも先生と生徒っていうのはちょっと恋愛関係になるのに抵抗があり、恋愛話が絡まないところを楽しんだ感じでしたね…というか、先生の魅力が出るのが、恋愛しているときではなく「先生」しているときなので…そういう人と恋愛できるのがいいんじゃん!ってことなんですけども。主人公の年齢がもう少し上のゲームで出会いたかった。笑

先生のセリフで好きなのは、主人公を励ます時の

速く走れるヤツがえらいわけじゃねえんだ。

最後まで歩き抜いたヤツがえらいんだよ。

このセリフ。何というか、自分自身も少し救われました。

後ちょっと関心したのが「人間ってのは失敗しないと、別の手段を思いつかねーよーにできてんだよ」っていうやつ。失敗を面白おかしく、でも前向きに受け入れられるいい言葉だなと思います。あとわかる〜ってなったのは

気の毒な篠原くん

これ。だる絡みされている篠原くんは気の毒ですが笑、前半の笑っておけば人生はいい方に転がっていくって言うのは大切にしたいと思いましたし、後半のつまらんと思っているやつにはつまんねー側面しか見えないようになっている、っていうのは私が常日頃心がけて生きていることなので(だから何でも面白いと思って生きるようにしている)、勝手に激しく同意していました。先生のセリフには共感できるものが多かったな。

木野瀬 一輝

他ルートでいいやつだな〜〜〜と思ってたら、まさかの実質元カレ。他ルートでの彼が気の毒でならない。一つ思ったんですけど、一番はじめのはじめは、あ~~~明日来るの嫌だ!!!!って7/29に思うまでは普通に進んでいたってことは、主人公は記憶喪失しなかった時間が一回だけあったってことであってるんでしょうか?木野瀬くんはその時だけ記憶の続く主人公と仲良くできたのかな?そう思うと彼が一番被害者ですね。

木野瀬くんは良くも悪くもいいやつだな〜という印象でそんなに強いインパクトのあるシーンがなかったです。いや、弁当の特訓付き合ってくれるところとか、カガハルルートでも篠原ルートでも背中を押してくれるのとか、色んなシーン出る面倒見の良さとか、あげれば彼のいいところはキリがないんですが、、、幸せになってほしい。

篠原 涼太

彼は泣ける!最後にやって!いう評判をチラ見し、残しておきました。ルート分岐直前の、合宿の動画を見るシーンで何となく察しましたが、確信が確証に変わっていくにつれ、ああ〜...ってなりました。

感情を文字に残すという作業が好きなんです。そしてその表現には、詩という形が、僕には一番ぴったり来るような気がするんです

詩が趣味な篠原くん、失っていく記憶、そしてその時感じた感情を忘れたくないから残していて、そしてその時、事実を詳細に書いてもその時感じた気持ちは思い出せないから、感情を残したいから、そこを抽出した結果詩になったのかななんて思います。詩って、読んでいる人に気持ちを呼び起こすものだと思うし。というか、詩の定義って改めて考えるとよくわからないなと思って調べたけど、分類はできるものの、そもそも何なのかといったものにはやっぱりはっきりとしたものはなかった。詩が趣味っていうとすごく高尚に聞こえるですけど、Twitterでおセンチになってる時にとりとめもないこと書いたりするのもある種そんなもんなのかなとか思って(篠原くんに失礼かもですが)、それこそ感じた感情を残しておきたいから、書いていたものが、結果として枠組みに当てはめるなら詩を書くことが趣味、っていうことになるのかなと思いました。詩のハードルって案外低いのかも。歌の歌詞とかある種詩な気もするし。

彼の忘れてしまうっていうのは、巨視的な視点で見れば人生と同じなのかな〜とか思いました。なんというか、結局永遠はなくて、いつか別れはくるし、人は死んでしまうし、失われるなら初めから意味なんてない、仲良くする意味なんてない...だとしても、"今、感じたその気持ち"は確実にあるわけで、諦める理由にはならない、みたいな...

主人公が悩むシーンで、篠原くんのために何をするべきか、でもない。私のために何をするべきか、でもないし、二人のために何をすべきか、でもない。「二人のために、私は何をしたいか」だ。と気づくところがありますが、ここはなるほどなぁ、と思いました。この前読んだ本に、愛というのは、主語が私でもなくあなたでもなく、私とあなた、二人になる事だって書いてありまして、まさにこの事だなと。自分が相手のために尽くすのでもなく、相手が自分の気持ちを満たすためでもない。互いに自分と相手を思いやり、相手も自分も同じように考えるのだと。そして、「べき」ではなく、「したい」というところも大事ですね。べき思考ではなく、自分の内的動機で動き、自分がやりたいからやってるんだと、自他境界をはっきりさせて、二人のためにしたいことを見つけていくのか大事なのかな〜とか思いました。

上に貼ったバレーボールイベントは、篠原くんルートをやる前に見て、彼ってこんなに素直に喜ぶことあるんだ、かわいいなあ!って、ドキッというよりも、なんか微笑ましい気持ちで見て、このイベいいな〜と思っていたのですが...彼のことを知った上で改めて見ると、技術は持ち越せるとはいうものの、とにかく周りに取り残され、ずっと同じままだという現状に対して、「主人公(他人)と一緒に、前に進めた」というのが、普段のちょっと素直じゃない態度が吹っ飛ぶくらい、本当に嬉しかったんだろうなと......ううっ.....

篠原くんは

現実というのは人の数だけあると思うんですよ。

今僕らの頭上にある月ひとつ取ってみても、僕と先輩では違う感想を抱くはずです。

そして僕はきっと、次のループでは、同じ月を見て違う感想を抱くでしょう。

だから、今ここにある月は僕にとっても先輩にとっても、人生でたった一度きりの、そして他人とは共有できない特別な月です。

このセリフが好きだし、共感しました。人は、物事の捉え方、感じ方、判断の仕方、どれをとっても千差万別で、だからこそ他人のことを理解するのはとても難しく、完全な理解はほぼ不可能なんだと思います。でも、違うからこそ楽しくお話しできるのだし、気持ちを共有できた時嬉しいんだと思いますね。

最後に、思い出はなくなってしまったのではなく、思い出せないだけかも、と、少しだけ希望が見えるんですけど、これはずいぶん優しい設定だな〜と思いました(何から目線?)。

綿森 楓

謎の色白神秘的美少年、カヲルくんポジ(エヴァちゃんと見た事ないけど...)最後の最後に彼のルートが解放されて、色々と真相が判明するわけですが...無限の可能性からありうるものを具現化できるというのは羨ましい限りですね。笑波動関数の話とかもろもろ、今まで経験したSF脳が役に立ってすんなり理解できました。

綿森ルートで印象的だったのは、一番最初に一緒に散歩するシーンです。綿森くんにエスコートしてもらうと、彼がつれていってくれるところは、知ってるところだけど今まで知らなかったお店とか場所なのですが、この、"知ってるつもりが知らなかった""見逃していた"っていうのが、象徴的だなと。まず一つは、見る人によって視点が変わるということ。上の篠原くんの話と同じで、同じ場所に行っても違うところに興味がいくし、気づくところも違うと思うので、もちろんループしまくりのおかげで知り尽くしてるってのはありますが、やはり主人公の目では気づかなかったものに、綿森くんは気づいたという点が、違うからこそだよなぁと。もう一つは、知ってる"つもり"の場所に、知らないものがある事。自分が知り尽くしたと思ってるのなんて、ほんの一面でしかなくて...思い込みは視界を狭くするんだなと。この後、お母さんと仲直りするシーンや、クラスメイトに話しかけるシーンもですが、分かったつもり、知ったつもりになって、決めつけて諦めてそれ以上見るのをやめてしまう、知るのをやめてしまうのはありがちなので...常に扉は開かれていて、見ようとしなかったのは自分だけなんですよね。だから、何に対しても常に知ろうとする事、心、そして視界を閉ざさないこと、そして100%わかることなんてできないことを常に自覚し、歩み寄る姿勢が大事だな〜と感じました。お母さんが、娘にひどいことを言ってしまったって、自身も申し訳なく思っていたというのが、視点が変わらないと気付けないことだなと思って、それぞれの立場で物事を考えるのを忘れないようにしたいですね。でも一方で、一度言われたことや感じた印象ってなかなか拭えないもので、主人公の気持ちもわかるし、母親がいくら謝っても主人公が傷ついた事実はやはりなくならないので、、、でも、そう言ってると一生仲直りできないから、時に間違えることは絶対にあるので、歩み寄るのが大事ですね、やっぱり。部長さんが、木野瀬くんルートで

人を傷つけない人間は存在しない。

かえりみて悔やむことができるなら、君に罪はない。

というのですが、まさにこれだよな。

あと画像に貼った綿森くんのびっくりするくらい素直な笑顔にグッときました。同年代とバカやる経験なんてなかったでしょうから、もしかしたら初めて心の底から笑えたのかもしれないですね。

綿森ルートでは、どのルートでも解決していなかったお母さんとの関係や、クラスメイトの関係を、主人公が勇気を出して踏み込み、明日に向かっていく姿が印象的でした。どのルートでも、居場所は科学部しかありませんでした。でも居場所は、一つになってしまうと、そこだけが頼りになってしまうし、いつまでもあるわけじゃない。居場所は、いろんなところにあるほうがいいし、そして、探すだけでなく、自ら手で作れるんですよね。科学部は、部としては無くなってしまうけど、皆の絆は無くならないし、主人公の世界はこれからもっと広がっていくんだろうなと前向きな気持ちになれました。

ただ、、、やはり科学部は無くなってしまうし翔くんや篠原くんの未来や、、カガハルはいなくなってしまうし、、そう考えると全ルート両立する世界じゃないと誰かしら悲しいままな気がしてちょっと寂しいです!!!!!!!法律で一妻多夫合法にならんかな??

まとめ

明日がなければ、今日はなかった。何があるかわからないからこそ、楽しいのだ。私たちにできることは、より良い未来を信じ、希望を持って今を精一杯生きること。

いろんなことから明日を受け入れられない人々が、前を向いていく姿がどのルートでも描かれていて、元気をもらえたし、私も頑張ろうと思えました。

制作者の方々、おすすめしてくれた方、ありがとうございました!!